かるたる!〜競技かるた日記〜

日常系競技かるたブログです。

競技の読みから学ぶ古典文法

読手講習会で印象に残っているシーンの一つ。

※「こころあ」は「おきまどわせるー」か「おきーまどわせるー」のどちらかで読むことになってます。

 

Twitterでの高校生の子とやり取りした際に思い出したのが↑の場面。
何がって、競技者に「一応覚えてはいるが歌の意味は特に知らない」という人も多く見かけられるばかりか「そもそも百人一首は全部は覚えていない」という方もかなりいらっしゃる(多分決まり字以降はメロディのみふんわり覚えてる的な)わけで、そんな彼ら彼女らは多分学校で「え~かるたやってるの~!じゃあ百人一首全部覚えてるんだスゴーイ!」「百人一首全部分かるから古典も得意なんだね!」と言われてうっすら苦笑いしているのだろうと思います。

競技の特性上、決まり字と札の組み合わせが分かっていれば取れるので、そういう奇形的な覚え方(苦笑)をする方も多くいると思いますし、そこをまず覚える方が手っ取り早いので、そういうのも分かる気がします。

ですが、百人一首を何となくでも覚えてるという学生かるたーで「かるたは取れるが古文はあまり得意でない」という人はぜひ、百人一首で古典文法を勉強すると覚えやすいのでオススメします。特に、好きな歌とかで。・・・え?好きな歌がない?じゃあ、比較的取れる札とかそういうので(笑)

 

と、思ったところで思い出したのが、冒頭のH先生のお言葉だったワケです。

何故そう思ったかというと、読みは文法と密接な関係にあるから。我々読手は「何となく」で要所要所を伸ばして読んでるわけじゃなく、専任読手の諸先生方が「文法を重視しながらも、競技者の取りやすいタイミングをはかるため、独特の読み方(※「競技かるたの読み方」テキストより引用)を考えて決めたものなので、つまり言葉として意味のある部分で伸ばしが入ってるということなワケですよ。

 

例えば(これはテキストにも載っているのですが)、「いうよしーもがなー」とか「くるよしーもがなー」の「もがな」は切らずに3文字続けて読んでますが、これも意味があるから。「もがな」は強い願望を表す終助詞で、途中で切れることのない言葉だから「もがなー」と続けているわけですね。「もーがなー」とは読まないのはそのため。

 

競技の読みで下の句の最後は基本的に2字でまとまってますが、一部の歌は3文字でまとめて読むものがありますよね。「もがな(4首)」のほかに「おもへ(2首)」「おもふ(2首)」「なくに(2首)」「ものを(1首)」がそうです。

例えば、「いのらぬもーのをー」とか読んだら何かおかしいじゃないですか。「いのらぬも」って何だ。祈らない藻か何かか?ってなっちゃいますよね(苦笑)だからやっぱり「いのらぬーものをー」と読まなきゃ気持ち悪い。

これは、言葉としてそんな所で切ったらおかしいから。ちゃんとそういうことも考えられた上で読み方作られてるんだって思うと感動&尊敬です。

 

なーんて、そんな感じで考えてみると、勉強の良いとっかかりになるんじゃないかなんて思ったりする今日この頃。終助詞だけじゃなく、動詞・形容詞・助詞・助動詞とそれぞれあるわけですから、もし、今自分が高校生だったら、まずはそこの勉強から始めそうです(そして、かるたやりたくなってウズウズするんだろうなwww)

学校でやっている古典文法に拒否感がある学生の方はぜひ、読みを聞きながら、もしくは口ずさみながら文法と照らし合わせてみれば、少しハードルが下がるかもしれないのでおススメです。ただし、あまりにも読みの方を聞きすぎて「うわああああかるた取りてぇぇぇ!!!」と発狂しないよう、ご注意を(笑)